ATTIモード ホバリング上達法

ホバリング上達のために、
512通りの直線移動練習のススメ

国家試験対策に限らず、GNSSやビジョンセンサーが効かないなどの不測の事態に備え、ドローンパイロットはATTIモードでのトレーニングは欠かせません。また各種センサーが正常に稼働している場合も風の向きを常に意識し、繊細な操作ができなければ、動画の質や測量の精度は低いレベルに留まってしまいます。どんな事態でも正確にホバリングが出来ることは、衝突事故防止の為の最低限の技術要件でもあります。

ここではATTIモードでのホバリングについて、効率の良い上達方法を提案したいと思います。

まずは、操縦を構成している「向き」にまつわる要素を分解してみましょう。説明を単純化する為に、高度変化を伴わない水平面での飛行に限って解説したいと思います。

図①

向きにまつわる3つの要素

風向き 進みたい方向 操縦者から見た機体の方向
図①:向きにまつわる3要素(青=進みたい方向/橙=風向き/灰=操縦者の方向)

ドローン操縦は、この向きにまつわる3要素を踏まえた操作で成り立っています。どれか1つでも操作に反映ができていないと、パイロットは「思った方向に行かない」「急に流される」と感じます。

図②

90度刻みでも64パターンある

では、状況を単純化して考えてみます。

進みたい方向 4通り × 機体の向き 4通り × 風向き 4通り
図②:90度刻み(前・後・左・右)でも、4×4×4=64通り
4 × 4 × 4 = 6490度刻み(前・後・左・右)だけでも 64通り

90度刻み、つまり「前・後・左・右」だけで考えても、操縦の状況は64通りも存在します。


図③

45度刻みにすると512パターンになる

さらに細かく、45度刻みで分けるとどうなるでしょう。

8方向の矢印が並ぶ円図
図③:8方向の矢印が並ぶ円図
8 × 8 × 8 = 51245度刻みにすると 512通り

「なんとなく操縦している」状態では、この512通りを無意識に処理することはできません。


図④

「基本はホバリング」は間違っていない

よく言われる言葉に、「ドローン操縦の基本はホバリング」があります。これは紛れもなく正しいです。

無風・屋内 位置をキープ
図④:地上の一点の真上で位置を保つホバリング(無風・屋内のイメージ)

ただし注意点があります。ホバリングを“止まる練習”だと誤解してしまうと、上達スピードが遅くなります。

図⑤

ホバリングは「常に補正している状態」

ホバリングとは、

風上へ舵を当てる 中性点での繊細な操作
図⑤:見た目は止まっていても、中身は常に微補正している状態

見た目は止まっていても、中身は常に動かし続けている状態です。ここで重要になるのが、正しいプロポの持ち方と、プロポ中性点での繊細な感覚です。


図⑥

無風・屋内では直線移動が最強の練習

風のない屋内や無風環境では、ホバリングよりも効果的な練習があります。それが直線移動です。

進みたい方向(コース) 機体の向き(機首)
図⑥:直線コースに対して、機体の向き(機首)がズレている状態

これらを同時に意識できるため、操縦の「整理力」が一気に高まります。


図⑦

直線移動ができるとホバリングも安定する

直線移動が安定してくると、

風があっても直進をキープ
図⑦:屋外で横風があっても、直線コースを乱さず安定して飛行できる

結果として、ホバリングの精度も自然と向上します。

図⑧

回転しながらの直線移動へ

回転(ラダー) 回転させながら直進
図⑧:ラダーを入れ、機体を回転させながらの直線移動へ

ここまで練習が進めば、次のステップは機体にラダーを入れて回転させながらの直線移動を練習してみてください。


操縦が安定する人は「図が頭に浮かんでいる」

操縦が上手い人は、頭の中に

の簡単な図が常に浮かんでいます。この感覚は、ここまでの意識的な練習で誰でも身につけることができます。

まとめ

  • 操縦は3要素の組み合わせ
  • パターンは想像以上に多い
  • ホバリングは「止める練習」ではない
  • 無風時は直線移動が最短ルート

ホバリングが苦手な人ほど、
まずは直線移動を練習してみてください。
操縦の世界が確実にかわります。